１ 概要
外国にいる外国人を呼び寄せる場合、「短期滞在」で来日を除いて、在留資格認定証明書交付申請によるのが実務上一般的である。
申請を行うのは、外国人ないしは在日の身元保証人等である。保証人等は、厳密には申請書提出代行者（使者）である、事実上、申請人（ないしは代理人）として扱われる。申請先は、申請を行う者の住所を管轄する地方入国管理局である。審査の結果、在留資格の付与が相当である場合、在留資格認定証明書を添付してビザ申請を行う。ビザが発給された場合、外国人は、そのビザと在留資格認定証明書を上陸時に提示する。原則として、認定証明書で認められた在留資格｀在留期間と同じ条件で上陸が許可されることとなる。
資格認定の審査には、概ね４〜１０週間がかかる。４週間を超える場合は、何らかの点が問題にされている可能性があるので、問い合わせる等して対応策を検討するべきである。
２ 資格認定の申請にあたっての注意点
一般的な注意点は、外国で作成する証明書を添付する必要があるので、申請国でどのような証明書が取得できるのかを知る必要がある。また、外国の公文書については、原則として、当該国の権限ある機関（通常は外務省）による認証を付する国もあるので、その場合は適切な認証を受ける必要である。また、タイなどは、自国の技能者の出国については労働省の許可が必要であるが、許可には期間を要するので、認定証明書交付申請の準備と並行して、タイの労働省の許可の準備を進める必要がある。認定証明書の有効期間は発行から３カ月であり、有効期限内に上陸申請をしなければならない、有効期限後でも上陸を許可することがある。
さらに最近、地方入管局が、在留資格該当性について外国における調査をする事例が報告されている。たとえば、外国料理のコックとして在留資格「技能」を取得する場合、１０年間の実務経験を要するが、従来は提出された過去の職歴を証明する書類の審査のみであったが、当該証明書を発行した者に対する照会を行うことがある。離婚の公証書を提出して日本人と結婚した事案について、本国の婚姻登録機関に照会をした事例もある。
３ ビザ申請の場合の注意点
認定証明書は、在外公館での審査の負担を軽減する制度であったはずであるが、一部の在外公館は、偽装結婚や入国拒否事由該当者へのビザ発給を恐れるあまり、認定証明書に加えて数多く資料の提出を要求する。そのような場合、各公館がその裁量で基準や提出資料のリストを作成しているので、直接その公館に問い合わせなければならない。また、公館によっては、当事者や身元保証人の面接を要求する場合もある。国籍や呼び寄せる日本人の職業（たとえば、タクシー運転手や不動産業者についてはビザ発給に厳しくなることを公言する領事もいる）によって在外領事の対応が異なることがあるので、それなりの注意が必要である。また、在外公館によっては、当該外国人のみで申請に行っても相手にすらさてない場合もあるので、そのような公館については日本人が同行したほうが確実である。
多くの場合、在外公館への提出資料は認定証明書交付申請の添付資料と重なるので、交付申請の際に資料を２通ずつ作成しておければ便宜である。
４ 資料の収集作成
当該事案にあわせて適切な資料の収集·作成を行う。資格該当性に関する資料については、「ひと目でわかる外国人の入国·在留案内」に必要資料のリストが載っている。たとえば、外国料理店で雇用するコックの場合、当該店舗の見取図、写真、メニュー、当該コックを必要とする理由等の資料を作成する。
資格該当性につき疑われる可能性のある事案については、その疑問点に対応した資料を作成する。たとえば、婚姻の真正を疑われているような事例では、真正を疎明する資料を作成する（陳述書、写真、電話料金の明細書、生活費の送金の資料等々）。
ラテン·バーを経営するための「経営·管理」の、ある資格認定申請事案に提出した資料は次のとおりである。
1 申請理由書、
2 申請人の旅券写し·履歴書·卒業証書·賃貸借契約書·外国人登録済証明書、
3 身元保証人の身元保証書·住民票、
4 会社の商業登記簿の謄本·営業許可写し·同変更届出書写し·経理報告書·事業計画書、
5 店舗の写真·図面·雑誌等の紹介記事·賃貸借契約書、
6 従業員のリスト·各雇用契約書·各住民票·各外国人登録証明書写し、
7 説明書（事務所の広さと位置、賃金台帳について、常勤従業員の職務内容について）、
8 事務所図面写し、
9 賃金台帳写し、社員総会議事録、
10 申請理由書、
11 事業計画書および
12 経理報告書で詳細に記載した。
